自動車で公道を走る場合、車検証の携帯とは別に車検証のシールをフロントガラス中央上部に貼る事が義務付けられています。
しかし、車の見栄えを重視したり、ガソリンスタンドや部品販売店で車検の入庫促進の営業を受ける事を嫌って意図的に車検シールを貼らない方もいます。
ここでは、車検シールを貼らない場合の罰則について説明します。
車検シールは貼らないといけない
車検シールとは、フロントガラス中央上部に貼り付けるもので、表面(車の外側から見れる側)には車検満了年が上部、車検満了月が中央部分から中央下部にかけて2つの数字が明記されています。
裏面(運転席・助手席など車内から見える側)には車検満了日が詳しく明記されています。
警察が車検切れ車両の取り締まりをするために、車検シールは必ず定められた位置(フロントガラス中央上部)に貼るように定められています。
車検シールは車検を継続するごとに新しいものが発行されて、貼り替えをする必要があります。
指定工場で1日車検を受けて後日、車検証と車検シールが郵送された場合は自分で車検シールの貼り替えをする事が必要です。
簡単に剥がせる事や、自分で貼る機会もある事から、意図的に車検シールを貼らない方もいます。
車検シールを貼らない罰則
車検シールを貼らないで公道を走った場合の罰則は、車検が残っている場合でも道路運送車両法によって、50万円以下の罰金と定められています。
なお、道路交通法違反のように行政処分(免許違反点数の加点)はありません。
ちなみに、車検シールを貼らない罰則は、車検証不携帯と同様の罰則です。
車検シールを貼らずに罰金刑になる事は少ない
車検シールは法律によって貼り付ける事が義務付けられています。
50万円以下の罰金刑が定められていますが、実際に車検シールを貼らなかった事だけを理由に罰金刑を科せられるケースはほとんどありません。
警察に捕まった際も、せいぜい口頭注意でしょう。
著者は過去に車検シールを貼らずに別の交通違反で警察に停められた経験があります。その際も免許証の提示のみで車検シールを貼っていない事に対して何も言われませんでした。
ただし、法律上罰則が設けられている以上、警察がシビアな対応をすると責任が免れません。
必ず車検シールを外側からも確認できるように、フロントガラス中央上部に貼るようにしましょう。
車検シールを貼らないデメリット
車検シールを貼らなくても、車検証を提示すれば車検有効期限を確認できます。
車検シールと車検証は法的には同等の効力・役割を担っていますが、実際には車検シールがなくても車検証さえあれば大きな問題に発展する事は少ないです。
車検シールを貼らないデメリットは、警察が検問をしている際に車検シールを貼っていないと止められて車検証提示を求められる可能性が高くなります。
車検シールを貼っていなくても、現物を車検証入れの中に一緒にしまっておくと、罰っせられるリスクが少なくなります。
ディーラーや車検工場での対応
当サイト制作スタッフは、某新車ディーラーで営業職として勤務していた経験があります。
車検シールについての対応ですが、貼り付け義務があるものなので、車検を受けた車の現車とシールがあれば、ディーラー側で貼り付けをしています。
しかし、新車販売の際は車検シールを貼る事でクレームに発展する場合もあるので、お客様の許可なしに貼る事はしていませんでした。
新車納車の際には、車検シールについて次のように案内していました。
「こちらの車検シールはフロントガラス中央上部に貼り付けるように義務付けられています。
私の方で今貼る事もできますが、お客様ご自身で貼っていただいても構いません。どういたしますか?」
このように問いかけて、貼ってくださいと言われた場合はその場で対応いたします。
貼らないといけないのですか?と言われた場合は次のように安定していました。
「法律で貼り付けるように義務付けられています。ただし貼っていない方も多く、それが原因で罰っせられた話も聞いた事はありません。
私は立場上、貼ってくださいとしか言えないので、後はお客様の自己判断にお任せします」
なお、車検を受けるお客様や、その他の事情で車検シールを発行される際に、お客様から貼らないでほしいと要望を受けた場合は「貼らずにお渡ししますが、立場上貼ってくださいと言わないいけないのでご理解ください」と言葉を添えて対応していました。
ほかのディーラーや販売店、車検業者も同じような対応をしています。
車業界は他の業者とのつながりや、他社の会社のトラブル事例を耳にする事がよくありますが、お客の要望を問わず車検シールを問答無用で貼っている業者はほとんどありません。
繰り返しますが、車検シールは法律上貼り付けが義務付けられていて、50万円以下の罰金刑が科せられます。
必ず定められたフロントガラス中央上部に貼り付けるようにしましょう。
意図的に貼らない場合は、罰則や法律違反になる行為で、問題が発生した際は全て自己責任になる旨を理解して自己判断でご検討ください。
法定点検ステッカーは貼らないといけないの?
法定点検ステッカーとは、通常フロントガラス左上に貼り付ける丸いシールです。
車の保安基準ではフロントガラスにシールを貼る事は禁止されていますが、車検シールと法定点検ステッカー、車検を受けた際の保安基準適合証だけはフロントガラスへの貼り付けを義務付けられています。
法定点検ステッカーは貼り付け義務はありますが、貼らなかった場合の罰則は定められていません。
フロントガラスに車検シールを貼らない人の多くは、法定点検ステッカーも貼っていません。
法定点検ステッカーは法定点検を受けた際に、オーナーへの確認をされずに整備スタッフが貼ってしまう事が多いです。
貼り付け義務がある事を理解して、必要に応じて点検を受ける工場のスタッフに相談して対応方法を検討するとよいでしょう。
まとめ
車検シールは貼り付け義務があり、違反した場合50万円以下の罰金刑が法律によって定められていません。
しかし、実際に罰っせられる事は少なく、警察も取り調べをほとんど行っていません。
車検証原本があれば、車検シールを紛失しても大きな問題にはならず、貼らない事を黙認している業者も多いです。
ただし、あくまでも法律違反と罰金刑を科せられる可能性がある事を理解して、必ずフロントガラス中央上部に貼り付けるようにしましょう。
どうしても貼りたくない方は、販売業者や車検業者に相談すれば、自己責任で自分が貼るという条件でシールを貼らない状態で受け取る事ができます。